藪の中/ランカスター/トリック・マイスター [アンプラグドゲーム]
今回のHBC様例会でも、幾つか興味深いゲームを遊ばせてもらいましたので、軽くご紹介。
・藪の中
タイトルの通り、芥川龍之介の同名の小説をモチーフにした、推理ゲーム。
コンポーネントは8個のヒトガタと幾つかのチップのみと非常にシンプル。ヒトガタは、何も描かれていないのが1つと、2から8までの数字を描かれたのが1つずつ。この数字が、肝です。
以下、4人プレイ時を例に説明します。
ヒトガタを裏向きのままよく混ぜた後、各プレイヤーはヒトガタを1つ取ります。イメージとしては、これは「目撃者」。自分に配られたヒトガタに描かれた数字をこっそり見て、右隣の人に渡します。当然自分も、左隣の人から渡されます。これもまた、こっそりと描かれた数字を見ますが、今度は右隣に渡しません。
これで、8つのヒトガタのうち、2つを見たことになります。
続いて、親番のプレイヤーは、残された4つのヒトガタのうち、裏向きのまま無作為に1つを「殺された人物」、残り3つを「容疑者」に分けます。分けたら、「容疑者」のうち2つをこっそりと見ることが出来ます。
これで、親番のプレイヤーは8つのうち4つを見ました。
ここからがゲーム本番。3つの「容疑者」ヒトガタのうち、「犯人」は1つです。「犯人」は通常、3つのヒトガタのうち最も大きな数字が描かれているものになります。ただし、「容疑者」の中に「5」がある場合は逆転して、最も小さな数字が描かれているものが「犯人」になります。そして、何も描かれていないヒトガタは「完全にシロ」で、決して「犯人」ではありません。
また、親番のプレイヤーは他プレイヤーの推理を撹乱するために、「容疑者」の1つと「殺された人物」とを入れ替えることが出来ます(任意です。入れ替えなくても構いません)。
その後で、親番のプレイヤーは3つの「容疑者」のうちどれが「犯人」なのか決めつけて、そのヒトガタのところにチップを置きます。
次のプレイヤーからは、直前のプレイヤーが「犯人」と決めつけなかった2つの「容疑者」を見ることが出来ます。それまでに見た4つのヒトガタ、自分より前のプレイヤーの推理、これらを総合して、やはり「犯人」を決めつけてチップを置くのです。
全てのプレイヤーが推理し終えたら、答え合わせ。全てのヒトガタを表向けにします。
推理が当たっていたプレイヤーのチップは、何事も無く各プレイヤーの手元に戻ります。推理が外れていた場合、チップを裏返しにし、それぞれの容疑者に対して最後に「犯人」と決めつけたプレイヤーの手元に渡ります。
これを繰り返し、誰かのチップが8枚以上になるか、手元のチップが全て裏返ってしまったらゲーム終了。表向きで残ったチップが1点、裏向きのチップは-1点として計算し、得点を競います。
素直に推理すれば、あまり負けは込みません。しかし他プレイヤーを負かそうと思えば、ある程度リスクを覚悟してブラフを張らねばなりません。しかしそのブラフは、万全の裏付けがあるとは限らないのです。
全体のうち情報が半分しか見えていないというのはこんなにも心許ないものなのか……というのを存分に楽しめるゲームです。
・ランカスター
百年戦争期のイギリスを舞台にした、ワーカープレイスメントゲーム。
典型的ワーカープレイスメント。自分の手駒の騎士を各領土やフランスとの戦争に派遣して、資源や得点を得てゆきます。
特徴的なのは、各領土への駒配置。各領土にはある種の「難易度」が設定されていて、騎士コマの能力がそれ以上でなければ配置できないのです。しかし、使い捨ての資源である「従者」を継ぎ足すことで、一時的に騎士コマの能力を上げることが出来るので、騎士コマ単体では力不足でも、どうにかすることが出来ます。
ところが、他のプレイヤーは望むならば、騎士コマと従者による補正の合計で既に配置されている騎士コマの力を上回れば、その騎士コマを追い出して自分が奪い取ることが出来るのです。
こうして追い出された騎士コマは、持ち主の手元に戻ってすぐ次の命令を待つことになります。つまり、事によってはどんどん従者を継ぎ足して血で血を洗う泥仕合になることも……
また、このゲームには「法案」というフェイズがあります。法案は、全て「◯◯の条件を満たしているプレイヤーは◇◇の特典を受ける」というもので、まず最初に3つ有効になっており、更に3つが審議待ちの状態になっています。
「法案」フェイズには審議待ちの法案に対して順に多数決を行い、可決されれば最も古く有効になっていた1つの法案が廃案になり、代わりに可決された法案が有効になります。この攻防がなかなか重要で、自分の得になる法案を通したい、または残したいというせめぎ合いで、熱い戦いが生じます。
最終的には、法案の効果や対仏戦の参戦・特定の領土の領有などによってより多くの得点を得たプレイヤーの勝利となります。得点に絡む要素が幾つもあるので、どれを優先すべきなのかという判断が重要です。
・トリック・マイスター
4スート、各1~15の計60枚のカードを使って行うトリックテイキング。
ゲーム自体はとても基本的なものなので、写真を撮りませんでした。
基本は1トリック1点。基本はそれ以上でもそれ以下でもないのですが、このゲームの面白いところは、ルールが毎回違うこと。
各プレイヤーには、最初に3枚ずつ「特殊ルール」の描かれたカードが配られます。ラウンド開始前に、各プレイヤーは1枚ずつ「特殊ルール」の描かれたカードを出し、その全てがそのラウンドに適用されます。例えば「◯◯スートが切り札である」「偶数回のトリックを取ったプレイヤーの得点は倍になる」「ラウンド開始時に、各プレイヤーは手札の中から◯枚を◯隣りのプレイヤーに渡す」etcetc...
この要素故に、毎ラウンド違った作戦を立てねばなりません。極端な場合、トリックテイキングなのに「トリックを取らない」ことを狙わなければならなかったりもします(実際、今回はそれで勝利を決定づけました)。
通常のトリックテイキングに慣れてきたら、変わり種として面白いでしょう。
・藪の中
タイトルの通り、芥川龍之介の同名の小説をモチーフにした、推理ゲーム。
コンポーネントは8個のヒトガタと幾つかのチップのみと非常にシンプル。ヒトガタは、何も描かれていないのが1つと、2から8までの数字を描かれたのが1つずつ。この数字が、肝です。
以下、4人プレイ時を例に説明します。
ヒトガタを裏向きのままよく混ぜた後、各プレイヤーはヒトガタを1つ取ります。イメージとしては、これは「目撃者」。自分に配られたヒトガタに描かれた数字をこっそり見て、右隣の人に渡します。当然自分も、左隣の人から渡されます。これもまた、こっそりと描かれた数字を見ますが、今度は右隣に渡しません。
これで、8つのヒトガタのうち、2つを見たことになります。
続いて、親番のプレイヤーは、残された4つのヒトガタのうち、裏向きのまま無作為に1つを「殺された人物」、残り3つを「容疑者」に分けます。分けたら、「容疑者」のうち2つをこっそりと見ることが出来ます。
これで、親番のプレイヤーは8つのうち4つを見ました。
ここからがゲーム本番。3つの「容疑者」ヒトガタのうち、「犯人」は1つです。「犯人」は通常、3つのヒトガタのうち最も大きな数字が描かれているものになります。ただし、「容疑者」の中に「5」がある場合は逆転して、最も小さな数字が描かれているものが「犯人」になります。そして、何も描かれていないヒトガタは「完全にシロ」で、決して「犯人」ではありません。
また、親番のプレイヤーは他プレイヤーの推理を撹乱するために、「容疑者」の1つと「殺された人物」とを入れ替えることが出来ます(任意です。入れ替えなくても構いません)。
その後で、親番のプレイヤーは3つの「容疑者」のうちどれが「犯人」なのか決めつけて、そのヒトガタのところにチップを置きます。
次のプレイヤーからは、直前のプレイヤーが「犯人」と決めつけなかった2つの「容疑者」を見ることが出来ます。それまでに見た4つのヒトガタ、自分より前のプレイヤーの推理、これらを総合して、やはり「犯人」を決めつけてチップを置くのです。
全てのプレイヤーが推理し終えたら、答え合わせ。全てのヒトガタを表向けにします。
推理が当たっていたプレイヤーのチップは、何事も無く各プレイヤーの手元に戻ります。推理が外れていた場合、チップを裏返しにし、それぞれの容疑者に対して最後に「犯人」と決めつけたプレイヤーの手元に渡ります。
これを繰り返し、誰かのチップが8枚以上になるか、手元のチップが全て裏返ってしまったらゲーム終了。表向きで残ったチップが1点、裏向きのチップは-1点として計算し、得点を競います。
素直に推理すれば、あまり負けは込みません。しかし他プレイヤーを負かそうと思えば、ある程度リスクを覚悟してブラフを張らねばなりません。しかしそのブラフは、万全の裏付けがあるとは限らないのです。
全体のうち情報が半分しか見えていないというのはこんなにも心許ないものなのか……というのを存分に楽しめるゲームです。
・ランカスター
百年戦争期のイギリスを舞台にした、ワーカープレイスメントゲーム。
典型的ワーカープレイスメント。自分の手駒の騎士を各領土やフランスとの戦争に派遣して、資源や得点を得てゆきます。
特徴的なのは、各領土への駒配置。各領土にはある種の「難易度」が設定されていて、騎士コマの能力がそれ以上でなければ配置できないのです。しかし、使い捨ての資源である「従者」を継ぎ足すことで、一時的に騎士コマの能力を上げることが出来るので、騎士コマ単体では力不足でも、どうにかすることが出来ます。
ところが、他のプレイヤーは望むならば、騎士コマと従者による補正の合計で既に配置されている騎士コマの力を上回れば、その騎士コマを追い出して自分が奪い取ることが出来るのです。
こうして追い出された騎士コマは、持ち主の手元に戻ってすぐ次の命令を待つことになります。つまり、事によってはどんどん従者を継ぎ足して血で血を洗う泥仕合になることも……
また、このゲームには「法案」というフェイズがあります。法案は、全て「◯◯の条件を満たしているプレイヤーは◇◇の特典を受ける」というもので、まず最初に3つ有効になっており、更に3つが審議待ちの状態になっています。
「法案」フェイズには審議待ちの法案に対して順に多数決を行い、可決されれば最も古く有効になっていた1つの法案が廃案になり、代わりに可決された法案が有効になります。この攻防がなかなか重要で、自分の得になる法案を通したい、または残したいというせめぎ合いで、熱い戦いが生じます。
最終的には、法案の効果や対仏戦の参戦・特定の領土の領有などによってより多くの得点を得たプレイヤーの勝利となります。得点に絡む要素が幾つもあるので、どれを優先すべきなのかという判断が重要です。
・トリック・マイスター
4スート、各1~15の計60枚のカードを使って行うトリックテイキング。
ゲーム自体はとても基本的なものなので、写真を撮りませんでした。
基本は1トリック1点。基本はそれ以上でもそれ以下でもないのですが、このゲームの面白いところは、ルールが毎回違うこと。
各プレイヤーには、最初に3枚ずつ「特殊ルール」の描かれたカードが配られます。ラウンド開始前に、各プレイヤーは1枚ずつ「特殊ルール」の描かれたカードを出し、その全てがそのラウンドに適用されます。例えば「◯◯スートが切り札である」「偶数回のトリックを取ったプレイヤーの得点は倍になる」「ラウンド開始時に、各プレイヤーは手札の中から◯枚を◯隣りのプレイヤーに渡す」etcetc...
この要素故に、毎ラウンド違った作戦を立てねばなりません。極端な場合、トリックテイキングなのに「トリックを取らない」ことを狙わなければならなかったりもします(実際、今回はそれで勝利を決定づけました)。
通常のトリックテイキングに慣れてきたら、変わり種として面白いでしょう。
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